物語後編

サメ革の希少性や機能性を伝えたい

気仙沼に揚がったサメの皮を買い付けて業者になめしてもらい、職人さんと相談してデザインを決める。「SHARKS」のオリジナル製品はそういった工程でつくられています。

熊谷さん:サメの皮膚には楯鱗(じゅんりん)という鱗があり、それを取ると凹凸のある肌が現れます。楯鱗を取るのは本当に大変な作業だそうで、サメ皮をなめすことができる業者は国内に二か所しかありません。うちでは、栃木の業者にお願いしています。

荒波で揉まれてきたサメの皮膚には傷や穴があることも多く、丸ごと使えるわけではありません。一枚の革を60%活用できるといいほうなのだそう。できるだけ有効活用しようと、バッグなどの大きな製品をつくった後の端切れを使い、ヘアゴム等も製作しています。

熊谷さん:サメ革は希少なのでお値段も少し高くなりがちなんですが、海の生き物なので水に強く、濡れても染みができることはありません。傷もつきにくく丈夫です。使うほどに艶が出てくるので、10年使ったものも新品のように見えるんですよ。お店に来てくださった方には製品に触れていただき、こうしたサメ革の丈夫さや意外な柔らかさ、希少価値をお伝えしています。

震災前よりもいいまちにしたい

気仙沼のサメ革製品を気仙沼で製作・販売しているお店は、現在『SHARKS』一軒のみです。『SHARKS』には、県外からもサメ革に魅了された人がやって来るといいます。

熊谷さん:サメ革の魅力を伝えたいという気持ちももちろんあるんですが、サメ革を通して気仙沼をPRしたいという気持ちがとても強いんです。だから、気仙沼に来るきっかけになったと言われるのはすごく嬉しいですね。

震災後、多くの人が復興支援のため気仙沼にやってきましたが、6年が経ち訪れる人は減っている状態です。いかにまちに人を呼ぶか。それがいまの気仙沼の課題だと熊谷さんは話します。

熊谷さん:気仙沼は生まれ育ったまちなので以前から好きでしたが、いまは前以上に「いいまちにしたい」と考えるようになりました。勝手な願望かもしれませんが、震災前よりもいいまちになれば、亡くなった方も喜んでくれるんじゃないかと思うんです。私たちも、数年後に振り返ったとき、「あのときは本当に辛かったけど、いいまちになってよかったね」と言えたらいいな、と。そんな未来を描いています。


■SHARKS(シャークス)
HP:http://sharksjapan.shopselect.net/

2017.1.25