物語後編
一品からオーダーメイドを受け付ける
オリジナル製品の製造・販売からスタートしたNRCですが、最近ではオーダーメイドが主流になっているといいます。多いのはゴム印や看板。手描きのロゴマークをスキャンしてデザインを調整し、希望のサイズで出力します。「思った通りのものができる」と好評なのだとか。
価格は大きさや機械を動かす時間によって変動するため、その都度見積もりを出すそう。一品から対応しています。
西川さん:「既製品や決まった型から選ぶのは物足りない」という人って多いんです。最初の頃は地元のお店や企業が発注してくれていましたが、イベントに出店したときに製品を見てくださった方からの依頼も増えてきました。
お客様の声を聞き取り0からデータをつくるので、時間も手間もかかります。「この木材でこの細かさだと難しいので別の木材にしましょう」と説明して変更することもあります。でも、やっぱり喜んでもらえるのは嬉しくて。それが一番やりたいことなので、苦にはなりません。
ユニークなのが、木材にレーザーで焼き付けた家族写真。お孫さんを持つ男性からの依頼で製作したそうです。価格は材料代込みで1万円ほど。ちょっと珍しい贈り物としても喜ばれそうです。
西川さん:今後は体験教室も開いていきたいなと思っています。大人が自分のほしいものをつくるワークショップもいいし、子ども向けに自分が描いたパズルを製作するワークショップを開くのも面白いなって。
アイデア次第でさまざまな使い方ができることがレーザー加工の魅力ですね。
若者に働きたいと思ってもらえる会社にしたい
創業から1年半が過ぎ、体制も整ってきたNRC。現在はtwitterとinstagramで情報発信していますが、そろそろウェブサイトやネットショップもつくりたいと考えているそう。また、販売してくれるお店も募集中とのこと。
西川さん:やりたいことはたくさんあるんです。ひとりで製作しているため、常にバタバタですし、オーダーをお待たせしてしまうこともあります。できればもう一人、一緒に製作してくれる人がいるといいな、と思っています。
釜石市内に働き口はたくさんありますが、福祉関係の仕事が多く、デザインやものづくりに携わる仕事はあまりないそう。理想とする仕事を求めて町を出ていく若者も多いといいます。
西川さん:私自身も、震災を経験して「一歩間違えたら自分も死んでいたかもしれない」、「いつ何が起こるかわからないから、本当にやりたいことをしよう」と思いました。いまの目標は、NRCを地域の若者が働きたいと思える会社に育てていくことです。やっぱり、震災前よりもいい町にしていきたいですから。
2016.11.20