つくり手インタビュー
『Nozomi Project』の工房兼事務所『のぞみハウス』は、渡波駅から歩いて5分ほどの洋風一軒家です。スタッフは火曜から金曜の週4日、9時から16時まで働いています。『希望のカケラ』の製作工程を見学させていただきながら、スタッフのみなさんにお話を伺いました。
こんなに居心地のいい職場はほかにない
『のぞみハウス』は2階建ての4 LDK。部屋ごとに工程を分けて作業しています。第一工程では、食器を外で綺麗に洗浄し、バスルームである程度の大きさにカットします。
第二工程では、タイルカッターで陶器を数パターンの形に切ります。側面はグラインダーで削って滑らかに。ピアスは重いと耳が痛くなってしまうため、カケラの裏の部分を薄く削ることで軽くするようにしています。細かな粉塵がたくさん出るため、この部屋ではみなさん防塵マスクを被って作業していました。「削ったカケラにパーツを取り付けて、綺麗に磨くまでがこのチームの仕事です」とチームリーダーの日妻さん。
日妻さん:陶器の色や柄・大きさを見ながら、ネックレスにするのかピアスにするのか、どんな形にするのか決めます。陶器の性質は1つ1つ違うので、削りやすさも変わってきます。この感覚は誰に教わるでもなく、それぞれが作業しながら覚えていきました。
佐々木さん:プロジェクトが始動するまでは、落として割ったり、紙ヤスリで削ったりと、試行錯誤を重ねました。でも、それではクオリティが安定せず増産も思うようにできなかったため機械を導入し、今の形となりました。どんどんバージョンアップしているんです。来年は全く違う方法をしているかもしれません。
第三工程で行うのは、カケラをアクセサリーにする作業。カケラの魅力を最大限引き出そうとイマジネーションを膨らませます。ネックレスだけでも15のラインがあるので、組み合わせはとても悩むそう。それだけに、いい商品ができたときの喜びもひとしおだといいます。
このチームのメンバーのひとり、遠藤さんに「ラインが多いとつくりかたを忘れてしまいませんか?」と聞くと、「忘れたときは気兼ねなく周囲の人に聞ける雰囲気をつくろうと思っています」と答えてくれました。
遠藤さん:久しぶりに製作するラインだと、「あれ、ここ何インチだったっけ?」と忘れてしまうこともあります。そういうときは「多分こうだろうな」で進めず、必ず口に出して確認するようにしています。もちろん覚えようと努力はしますが、「恥ずかしくて今更聞けない」という雰囲気はここにはありません。つくり直しを出さないことのほうが重要ですから。
勤務時間はしっかり手を動かしますが、同時にお喋りもたくさんするそう。「ここで話したことは口外しない」というルールにしているので、家での出来事や人間関係の悩みを何でも話すことができるのだとか。
遠藤さん:「Nozomiにいるときが一番リラックスできる」なんていうスタッフもいるのですよ。私も家庭の都合で長く休むことがあるんですが、いつ帰ってきてもアットホームに迎えてくれます。こんな職場は、ほかにないと思います。
完成した商品は、ウェブサイト用に撮影して品番を振って管理します。『Nozomi Project』には日本語版と英語版とふたつのウェブサイトがあり、商品も国内用と海外用に分けて管理していた時期がありました。しかし、それでは効率が悪いため、専用のシステムを構築。ふたつのサイトの在庫情報を裏で共有できるようにしました。
梱包・配送チームの阿部さんはパソコン作業の経験がなく、電源の入れ方もわからないところからのスタートでした。でも、いまではオーダーリストや宛名ラベルを印刷し、配送するところまでひとりでできるようになったといいます。
佐々木さん:慣れないことへの挑戦でプレッシャーを感じて、海辺でひたすらコピーを取らされる夢を見たそうです(笑)でも、そうやって苦手なことでも頑張ってくれるので、とても助けられています。『Nozomi Project』がちゃんと回っているのは、そんな気持ちのある人たちが集まっているからですね。
『のぞみハウス』の一階奥はショールームになっていて、『Nozomi Project』のさまざまな商品が展示されていました。こうして並ぶと、一つひとつの個性がより一層際立ちます。
営業時間内はショールームでも商品を販売しているので、気になった方はぜひ足を運んでみてくださいね。スタッフのみなさんが、明るい笑顔で迎えてくれるはずです。
2015.9.17