つくり手インタビュー

s_IMG_0456ピースジャムでは現在、10人のお母さんを雇用しています。落合にある工房では、お母さんたちはこどもの面倒を見ながら、テキパキとベビーモスリンの梱包を進めていました。お母さんたちにとってここはどんな場所なのでしょう? 2人の子どものお母さんで、いまは3人目を妊娠中の千葉千晴さんにお話を伺いました。

こどもも刺激を受けて、自分も安心できる場所

s_IMG_0449ーーいつからこのお仕事をされているんですか?

千葉さん:震災の次の年からですね。こどもの物資を支援していただいたのをきっかけにピースジャムのみなさんと知り合って、しばらくしてから「一緒に働きませんか」と声をかけられました。「ジャムと縫製、どっちにしますか?」と聞かれて、「縫製のスキルが身に付いたらいずれこどもが大きくなったときに自分で何かつくれるかな」と思って縫製を選びました。

普段はベビーモスリンの縫製や検品をしていて、人手が足りないときはジャムのほうも手伝っています。

s_IMG_0465——物資を支援してもらっていたということですが、震災時はどんな状況だったんですか?

千葉さん:震災当日は旦那の実家にいました。すぐに裏の山に逃げたので家族は無事でしたが、家は全壊で。私の実家は無事だったので避難して、しばらくしてから仮設住宅に移りました。

震災時、私は最初の子を妊娠して8か月の状態だったんです。着の身着のまま逃げてきて、清潔にしたいけど着替えもない状態で。だから、物資支援はありがたかったですね。

おもちゃや絵本がいっぱいの工房でのびのび遊ぶこどもたち

おもちゃや絵本がいっぱいの工房でのびのび遊ぶこどもたち

——ベビーモスリンはもともとご存知でしたか?

千葉さん;いえ、この仕事をするようになって初めて知りました。いまの時期だとこどもが昼寝しているとき掛け布団代わりに掛けたり、赤ちゃんをお風呂にいれるときに顔を拭いたりするのに使っています。こどもも普通のタオルよりも気持ちいいのか、自分から使うんですね。

——ガーゼタオルとはどこが違うのでしょう。

千葉さん:ガーゼタオルは洗っていくうちによれたりして質が落ちていきますけど、ベビーモスリンは洗う程にどんどん強くなるし、肌に馴染んでくるんです。タオルはよく洗濯するものなので助かりますね。これから生まれる赤ちゃんのための出産準備グッズの中にもベビーモスリンを入れています。

取材した日はまだ公園の完成前。こどもたちは「早く遊びたいなぁ」と待ち遠しそうな様子でした。

取材した日はまだ公園の完成前。こどもたちは「早く遊びたいなぁ」と待ち遠しそうな様子でした。

——こどもたちも元気いっぱいで楽しそうですね。

千葉さん:こども連れで出勤できるような職場って、気仙沼ではほかにないと思います。幼稚園に入る前の時期ってほかの子と関わる機会が少ないんですけど、小さいうちからみんなとわいわい遊ぶとこどもにとっても良い刺激になるんじゃないかな。私もお母さんたちと情報共有できますし。いまは仮設から出ましたが、仮設にいた頃は狭くてこどもたちが遊べる場所もなくて。そういう状況や気持ちがわかりあえるのはありがたかったですね。

工房の向かいにはツリーハウスも!

工房の向かいにはツリーハウスも!

ーーこれまで活動を続けてきて、嬉しかったことはありますか?

千葉さん:こないだ、まちで知らないお母さんが、抱っこしている赤ちゃんに大判のモスリンを掛けてあげているところを偶然目にしたんです。自分がつくったものをほかのお母さんが使っているところを見ると嬉しくなっちゃいますね。ちょっとは私も役に立っているのかなって。赤ちゃんが使うものだから、丁寧につくろうと思っています。

ーーありがとうございました!

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2015.7.28