つくり手インタビュー

左から千葉さん、濵田さん、皆川さん
約60人が在籍する『東松島ステッチガールズ』では、毎週火・水、矢本にあるコミュニティスペース『あったかいホール』の2階を作業スペースとして借りています。つくり手の女性たちにとってここは、狭い仮設住宅に息苦しさを感じたとき、外に出て誰かと話したくなったとき、ふらりと来ることができる場所。取材当日は4人のステッチガールズがクロスステッチに勤しんでいました。
「やれるときに、やれる人が、やれるだけ、やればいい」。
岡田さんの言葉に支えられて
——みなさんはどうしてこの活動に参加することにしたんですか?
千葉さん:こどもがおなかにいるときに第一回の説明会があって、家でできる仕事がしたいと思っていたので参加しました。
皆川さん:私はもともと、こういう細かなものづくりが好きだったんです。クロスステッチもこどもの頃少しだけやっていました。それを仕事にできるならいいなぁって。
濵田さん:震災後に仙台から松島に引っ越してきたんですが、テレビをつけたらちょうどこの活動が紹介されていたんです。引っ越したばかりで知り合いもいなかったし、夢中になれるものがほしいなと想って。いままでクロスステッチなんて聞いたこともなかったけど、始めたらハマってしまいました。
——クロスステッチのどんなところが魅力なのでしょう?
千葉さん:細かなひと針ひと針を重ねて模様が浮かび上がってくるところですね。完成すると「お〜」って感じです。
皆川さん:慣れてくると絵画を刺繍で表現することもできるんですよ。
濵田さん:意外と頭を使いますよね。糸を無駄にしないためにはどこから刺しはじめよう、とか。途中まで刺して「あっちからやればよかった」って思うこともあるし、いつの間にかズレていることもあるし。針の位置が微妙に違うだけで形が変わってしまって、綺麗な模様が出ないんですよ。
皆川さん:自分のものだったら一目位ズレていいやって思えるけど、製品だからね。やり直してちゃんとつくらないと。
——クロスステッチの技術を応用して自分のものをつくることもあるんですか?
皆川さん:そうなんです。本の図案を参考に、いろいろつくってますよ。
千葉さん:私も、こどもの持ち物に名前やマークをつけるようになりました。
——お子さんと一緒に来れるのもいいですね。
千葉さん:そうですね。広くて遊具もあるし、こども同士仲良くなったりもするので、助かっています。
——岡田さんも年に数回、こちらにいらっしゃるんですよね。
千葉さん:気さくで可愛らしい方ですよ。良い機会だから、色々教えてもらっています。
濵田さん:あるとき岡田さんが、「やれるときに、やれるひとが、やれるだけやればいい」っておっしゃっていたんです。その話を聞いてから、こどもを塾に送り迎えするときの待ち時間とか、ちょっとした時間を見つけて仕事するようになりました。
福嶋さん:岡田さんは、「女性は旦那さんの仕事やお子さんの成長に合わせて、使える時間が毎年変わっていくから」と話していましたね。クロスステッチも、そうした変化に合わせてどこでもできる仕事として主婦のみなさんのお役に立つことができたら、と思っています。
——活動を続けてきて、嬉しかったことはありますか?
濵田さん:自分が携わった製品が店頭に並んでいるところを見ると、やっぱり嬉しいですね。
皆川さん:実は私、ずっとこういう仕事がしたかったんです。こどもの頃の文集にも、「手芸屋さんになりたい」って書いていました。だから、夢が叶っちゃったなぁって。
——今後の展望はありますか?
千葉さん:9月にカフェができると聞いていて、それが楽しみです。賑わってくれるといいですね。
濵田さん:いまは与えられた仕事をこなすので精一杯ですが、ゆくゆくはメンバー同士で図案を考えてオリジナル製品を開発したいです。ステッチガールズの目玉となるようなものを生み出していけたらな、と思っています。
2015.6.18