つくり手インタビュー
『pensea SEASIDE CANDLE』は、気仙沼市南町にある『ともしびプロジェクト』の工房で、地元のお母さんたちの手で製作されています。鈴木さんに案内してもらい、つくり手の浅野たかえさんにお話を伺いました。
いろんな海の表情を見ながら育ってきたから、つくるのが楽しい。
——以前からキャンドルづくりはされていたんですか?
浅野さん:いいえ、初めてですね。でも、木工が好きで、ものづくりはしていたんです。ハローワークで『ともしびプロジェクト』の求人を見つけて、キャンドルもやってみたいなと思って応募しました。そしたら受かっちゃって。普段はここで毎日、9時17時で働いています。

DIYでリノベーションしたという工房はとってもキュート!
——『pensea SEASIDE CANDLE』はすぐにつくれるようになりましたか?
浅野さん:最初は歩ちゃんがつくってきたのを真似して、みんなで試行錯誤して、っていう感じですね。ともしびの製品は決められた形、決められた温度でやっているのでみんな同じ仕上がりになるし、量産しやすいんです。でもこれは難しくて。
——たとえばどんなところが難しいんですか?
浅野さん:下の層が固まってきたら次の色を流し込んで、というのを繰り返してグラデーションをつくるんですけど、大きなキャンドルはアルミの缶を使ってつくっているから、中が見えないんですよ。これは経験と勘が必要ですね。それに固まる早さは気温に左右されるから、その日その日で変わります。感覚を掴むまでが大変ですね。
鈴木さん:本当に、職人さんなんですよ。キャンドルアーティストと名乗ってもいいと思います。
浅野さん:いえいえ、そんな(笑)でも、やりがいはありますね。次はどんなのができるだろうって楽しみで。それに、海をモチーフにしているところもいいなぁって。ずっと海で育って来て、いろんな海の顔を見てきたから。自分の記憶にある海をイメージしながらつくっているんです。
鈴木さん:それ、すごい大きいと思います。日によって、時間によって、全然違うんですよね。
浅野さん:そう、ただ青を濃くしたり薄くしたりするだけじゃないんだよね。最初にこれを見たとき、「よくつくれたね」って言ったの。歩ちゃん、すごいと思った。なんとなく遠くに緑がある感じとか、本当の海を見てないと出せない色だもん。波しぶきの繊細な表現とかも。

表面をわざと削って、波の感じを出します。
——浅野さんも気仙沼生まれなんですね。
浅野さん:はい。と言っても唐桑なんですよ、歩ちゃんと同じ。フェリーで気仙沼(※中心地のこと)の学校に通ってました。
鈴木さん:唐桑は半島になってるから、車よりも船のほうが気仙沼に早く着くんです。
浅野さん:台風でも欠航しないときもあって、ぐわんぐわん揺れながら。おかげで船酔いしなくなりました。
——すごい環境ですね。
浅野さん:でも、どんどん若い人がいなくなってきてるから、それが寂しいんです。歩ちゃんみたいに戻ってきてくれる人や、外から来てくれる人もいるけど。若者が住みたいと思える気仙沼にしたいよね。
——製作していて、嬉しいことはありますか?
浅野さん:やっぱり売れたとき。ここにいると、お客さんの反応がわかるんですよ。「可愛い」って言ってもらえると、つくってよかったなと思いますね。
買ってくれるのは観光で来た人が多いけど、財布の紐が固い地元の人が買ってくれるようになったらいいな。気仙沼らしいものを外の人に贈ろうというときに思い出してもらえたりとか。
やっぱり海のまちだから、海を感じるお土産として、広めていきたいですね。
製作工程
今回教えてもらったのは、リアルシェルテーブルキャンドルのつくり方。まずは浜辺ではまぐりの貝殻を採集。ついでに流木や石も拾って、展示什器などに使うそう。リヤカーを使って持ち帰り、綺麗に磨きます。かなりの重さになるので、結構ハードな作業なんだとか。
出したい色によって、クレヨンとカラーチップを使い分けます。どちらかに決めてしまったほうが楽ですが、海の繊細な色味を出すためにこだわっているそう。
70〜80度の温度でロウを溶かし、貝殻の中に流し込みます。芯がぶれないように割り箸で固定して、固まるのを待ちます。
ロウが固まったら、タグをつけて完成!貝殻は自然のものなので、とれなくなったら終了とのこと。気になる方はお早めに!
2015.4.9