つくり手インタビュー
おのくんの“おかあさん”は、現在20人ほどいます。毎日のように集会所に通って、せっせと新たなおのくんを生み出しているのだとか。おかあさんたちはどんな背景を持った方々なのでしょう。そのうちのひとり、高橋妙子さんにお話を聞きました。
おのくんが飛び回っている姿を見るのがうれしい
——活動にはいつから参加されてるんですか?
高橋さん:活動がはじまった一番はじめから。武田さんと避難所が一緒だったんです。それまでも近所だったんですけど、私は会社勤めしていたからあまりつきあいはなくて。
——どんなお仕事をされていたんですか?
高橋さん:弱電会社に勤めていたんです。電気部品、カメラに入れる電池とかをつくる会社ですね。地震のときも会社にいて、家に帰って避難所に逃げたあと、津波が来ました。家は全部流されて、何もなくなっちゃいました。
——いまも仮設住宅にお住まいなんですね。
高橋さん:そう。今日来ているメンバーはみんなご近所さん。前も近所で、高台にできる復興住宅でもお隣さんになる予定で(笑)今日の午前中は説明会だったので、みんなで行ってきたんですよ。
——みなさん仲がいいんですね。毎日ここで作業しているんですか?
高橋さん:はい。でも、おしゃべりが多いから、1日4〜5匹しかつくれないの。黙々とやっていればもうちょっとはつくれるんだけどね。めんどくせめんどくせって言いながらつくるもんだから、とうとうそんな名前になってしまって。
——おのくんをつくることで得た収入は、どうされていますか?
高橋さん:車のローンを払うのに使わせてもらってます。車は買ってから1年くらいだったかな、津波で水はかぶったけど、流されはしなかったの。でもしばらく乗っていると音がするようになって、車屋さんに持って行ったら「危ない」って。このあたりは車がないとどこへも行けないから新しい車を買ったんだけど、前の車の支払いも残っていて二重ローンだから、大変です。おのくんのおかげで助かってますよ。

5本指靴下でつくったおのくん。ちょっとファンキー!?
——はじめてソックモンキーを見たときはどう思いましたか?
高橋さん:可愛いなぁって。形になるとよけい可愛くて。ほんとは飽きっぽいんだけど、おのくんをつくるのだけは飽きないねぇ。
——どうして飽きないんでしょう。
高橋さん:やっぱりね、売れるでしょ。つくったものがいつまでも残っていたら悲しいけど、みんなが喜んで連れていってくれるから。
——里親さんたちからたくさん写真が届くそうですね。
高橋さん:そうそう、お店とか、海とか、いろんなところから。「よかったねぇ、いろんなとこ連れてってもらって」って思うんですよ。私よりいろんなところ行ってるんだから。

ファンの方がつくったおのくんカー。車までおのくんにしちゃうとは、かなり熱心ですね!
——ご自身でも持っていらっしゃるんですか?
高橋さん:持ってます持ってます、車の中に飾ってあります。一番最初につくったおのくん。愛着があって、手放せなくて。
——思い入れがあるんですね。今日はどうもありがとうございました。
製作工程
両方の靴下を裏返しにして、縫い線を引きます。
線に合わせてミシンで縫います。
端をはさみで切って表に返し、中に綿をたっぷり詰めます。
手足や口を縫い閉じて、目とタグをつければできあがり!
なお、おのくんの「エサ(材料)」となる新品の靴下(大人用でも子ども用でも)と15mm・13mmのおめめ、綿(ダイソーの手芸綿が最適!)は武田さんが近くのお店で購入していますが、みるみる無くなってしまうそう。
寄付をしてくださる方は、東松島市牛網字駅前2-33-1小野駅前応急仮設受託集会所までご送付ください。ちなみに、「この靴下でおのくんをつくってください!」と注文するのもOKだそうですよ!

福岡の里親会の集合写真。みんな個性豊か!
2014.12.20