物語

¥IMG_2713

東北マニュファクチュール・ストーリーでは、震災後に東北で生まれたものづくりを紹介してきました。これまでに訪問した現場は31か所。どの現場でも、製品の裏にかけがえのない物語があることを知りました。

その物語は、現在進行形で綴られているものばかりです。以前訪れた団体は、いまどんな風に変わっているでしょうか。私たちは、取材後に変化があった団体を取材し、「その後」として記事にまとめていくことにしました。今回は、『瓦Re:KEYHOLDERのその後』をお届けします。

製品の売上と全国からの支援で、
陸前高田に人が集まる素敵なカフェが誕生!

¥944997_676586569034018_519058752_n

瓦Re:KEYHOLDERは、北海道出身の中田源さんが、陸前高田で始めたプロジェクトです。ガレキはネガティブなものとして捉えられがちだけど、元々は誰かの家やお店の一部だったもの。陸前高田の思い出が詰まったカケラを、ポジティブな製品として蘇らせよう。そんな想いから、製作と販売が始まりました。

私たちが取材で陸前高田を訪れたのは、2013年6月のこと。当時、中田さんたちは瓦Re:KEYHOLDERの売上を元に、『職人工房ハイカラごはん』というカフェを建設中でした。

津波と地震により残された建物が少なかったため、場所探しには苦労したそう。「ここでできたらいいよね」という物件もありましたが、当時は復興工事に従事する方々の宿泊所として使用されていました。「まずはやってみることが大事なんじゃないか」と、一軒家は諦めてプレハブの仮設店舗から始めることにしたといいます。

¥c3180f17fd79c14e1be130db9c6570674c6e6ee8

中田さん:このカフェは、陸前高田のまちづくりを進めるためには人が集まり対話できる場所が必要だと考えて構想したものです。だから、陸前高田でずっと生きていく人が運営するべきだと思っていて、地元でがっちりとタッグを組める若い人を探していました。でも、新しい形態ということもありなかなか地元の人が面接に来てくれなかったんです。そこで、瓦Re:KEYHOLDERの活動を応援するために県外から来ていた長期ボランティアスタッフと、なんとか見つけた2名の地元スタッフで始めることにしました。

オープン後、『職人工房ハイカラごはん』は話題となってたくさんの人が訪れ、笑い声が響く場所になりました。そのうちに、お客さんや地元の方の紹介を通して少しずつ地元スタッフが増えていったといいます。

キャプション:陸前高田の名産品・米崎りんごを使った地ビール「りんごエールりくぜんたかた」も開発!

陸前高田の名産品・米崎りんごを使った地ビール「りんごエールりくぜんたかた」も開発!

中田さん:スタッフたちには最初から、「この場所は地元の人が運営していくべき」と伝えていて、その想いを継いでくれる仲間が出てきたので、僕も北海道へ戻ることにしました。

陸前高田で活動しているうちにたくさんの若者が地元を想い動く姿に心を動かされ、「自分も自分の地元でできることをしたい」と想うようになっていたんです。3年の月日が経ち、東北以外の場所では震災がかなり風化していると感じていたので、北海道で少しでも震災を伝えたいという気持ちもありました。

ちょうどその頃、以前物件を探していたとき、宿泊所として使われていた物件が空いたという情報が舞い込みました。その場所が地元で一緒に活動していた仲間の実家の持ち物だったこともあり、移転を決意。クラウドファンディングで移転費用を募集したところ、200万円を超える資金が集まりました。

¥content_3266e59afcb486f53cb8f2b071b3e2fcdbe114f5

2014年4月、新店舗の工事を着工。職人さんとスタッフが力を合わせ、元々あった建物の床や天井をはがし、新しく貼っていきます。壁には、『ハイカラごはん職人工房』の床材を磨いた木材を再利用しました。

 

そうして完成したのがこちら、『農家カフェフライパン』です。2014年7月26日にオープンしました。

¥IMG_2710

私たちが訪問したのは、9月中旬の土曜日。駐車場にはたくさんの車が並んでいました。白と赤を基調とした明るい外観が、道路からもよく目立ちます。この赤は、りんごをイメージしているそう。

¥IMG_2711

フライパンという名前は、料理をするときフライパンの中で食材が楽しげに飛び跳ねているイメージから名づけたとのこと。ロゴも可愛くてポップです。

¥IMG_2701

扉の向こうには、木をたくさん使った落ち着いた空間が広がっていました。奥には小あがりがあり、子ども向けの絵本や玩具が並んでいます。子ども連れのママにも優しい!カウンター席、テーブル席、小上がり席合わせて60席あるとのこと。

¥IMG_2704

お手洗いへ続く通路の突き当たりには、りんごの木のイラストが描かれています。

¥IMG_2698

こちらは『ハイカラ』から引き継いだ看板メニュー。骨付き肉をスパイスで煮込んだ本格カレーのランチです。

¥content_8c1b9c4a26787af23508a98c5a587489a6dca3ae

現在は、『ハイカラ』の頃から働いていたスタッフたちと、オーナーシェフとが力を合わせて切り盛りしています。中田さんは、こうして信頼できる仲間たちにお店を引き継ぐことができたことをとても喜んでいる様子。

中田さん:誰かにとってはゴミかもしれないカケラが、世界でひとつだけのキーホルダーになり、そこから仕事が生まれ、全国の人たちが持ってくれることで被災地と全国とが気持ちでつながった。一個一個の力は小さいかもしれないけれど、それが集まったらこんな風に新しい場所ができて、雇用が生まれて、地元でとても愛される空間になりました。

これは本当にみんなのおかげだし、素晴らしいことだと想っています。このキーホルダーを持っている人、知っている人、すべてにこの続きを見てほしいなと思います。

¥IMG_2700

『瓦Re:KEYHOLDER』は現在も福祉作業所『@かたつむり』で製作されています。2014年現在、総販売数は9万個を越えたそう。中田さんが目指していた「販売数10万個、ガレキ処理量1トン」も目前です。

ネガティブなものとして捉えられがちだったガレキが生み出した、素敵な空間と新しい物語。『瓦Re:KEYHOLDER』を購入された全国のみなさん、次はぜひ陸前高田まで足を運んでみてはいかがでしょうか。きっと、「購入してよかった!」と思うはずです。

¥IMG_2705

農家カフェフライパン
岩手県陸前高田市米崎町字樋の口63-2
0192-55-3358
https://www.facebook.com/FRYINGPAN2014

以前の記事は、こちらをご覧下さい。▶瓦Re:KEYHOLDER STORY前編・後編

2014.9.20