つくり手インタビュー

左が和泉さん、右がマルティナさん

左が和泉さん、右がマルティナさん

梅村マルティナ気仙沼FSアトリエでは、現在9人のスタッフを雇用しています。震災後に始めた活動でこれだけの人数を雇用できるのは、とてもすごいことです。スタッフの女性たちはどんな方々なのでしょうか?3児の母である和泉昌子さんにお話を伺いました。

マルティナさんと、出会えてよかった

——和泉さんは元々気仙沼の方なんですか?

和泉さん:はい、大沢で被災して、避難所の体育館に移りました。そこにマルティナさんの毛糸が届いたんです。避難所では時間を持て余していたので、編んでみようかなと思いました。

編み物の経験はあったんですが、こんな毛糸があることは知らなかったので、夢中になりました。ほかに編んでいたのは、60〜70代の年配の方が多かったですね。編んだものは、誰かにあげたり、自分で使ったり。

——マルティナさんが避難所を訪問したときは会われたんですか?

和泉さん:私はそのとき、ホテルに二次避難していて、避難所にはいなかったんです。でも、マルティナさんがいらっしゃると聞いて、ご挨拶に行きました。会ってみたいな、と思いまして。

それから小原木タコちゃんの発送のお手伝いなどをしていて、会社設立のタイミングで従業員になりました。

民宿『高見荘』で作業していた頃の様子

民宿『高見荘』で作業していた頃の様子

——いまは週5で働いているんですか?

和泉さん:はい。10時から15時までで、週5日。高校生2人と小学生が1人いるので、この時間で働けるのは助かりますね。仮設住宅のある唐桑はバスの運行が少ないから、学校まで送迎をしないといけなくて。

——いまも仮設住宅で暮らしているんですね。

和泉さん:あと一年位は辛抱しないとですね。慣れたとは言っても、やっぱりしんどいです。夏は暑いし冬は寒いし、虫は入ってくるし雨漏りもします。音も筒抜け。仮設にいると息が詰まるから、行くところがある、収入も得られるというのはとてもありがたいなと思います。

——仮設住宅に籠りきりになってしまう人もいるといいますね。

和泉さん:そういう話はよく聞きます。でも、うちの仮設はもともと同じ地区民の集まりで顔見知りのため仲が良いので、そういう人はいないんですよ。班長などの役割も当番制で回していますし、敬老の会とかクリスマス会とか、季節ごとにいろんな催し物を開いています。うまく回っているほうだと思います。

——それは素晴らしいですね。ほかのメンバーも仮設に入居されている方が多いんですか?

和泉さん:そうですね、仮設やみなし仮設に。これを機に知り合った方も多いんですが、和気あいあいと仕事しています。笑いが絶えないんですよ。

——仕事そのものも楽しいですか?
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和泉さん:はい、編んでいるうちに柄が出てくると楽しいですね。誰かに使ってもらうことを考えると、幸せな気持ちで編めるんです。好きな柄は気仙沼シリーズの「桜」ですね。可愛い可愛い、って編んでいます。あとはそうだな、「森」も好きです。

——今年4月には19歳の新入社員が入ったと聞きました。

和泉さん:若いエネルギーを貰っています(笑)子どもと同じ年代の子と働いていると思うと不思議な感じがしますね。

若い子の吸収力ってやっぱりすごいんですよ。どんどん仕事を覚えていって、今では私たちのほうが聞く側に回っている場面もあるくらいです。頼もしいですね。

——今後、「こうなっていったらいいな」という展望はありますか?

和泉さん:マルティナさんの想いの通りですね。地域の人を雇用して、子育てをしている人も、無理なく働ける場をつくれたらと思います。

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——助成金でなんとか回している団体も多い中で、こうして多くの人を自力で雇用できているのはすごいことだと思います。

和泉さん:ええ、うまくいっていると思います。マルティナさんの力が大きいですね。でも、社長といってもとてもフレンドリーなんですよ。可愛らしいし、気さくだし。でも一緒に写真を撮られたくないんです、マルティナさんは顔が小さいから(笑)

——目標は社員旅行でドイツに行くことだそうですね。

和泉さん:そうなんです!マルティナさんは夢を実現させるタイプなので、きっといつか…(笑)行動力もあって、ほんとにすごい方だなと思います。出会えてよかったです、本当に。

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2014.9.21