つくり手インタビュー

『ぼっぽら食堂』ができてから、すっかり食堂の運営に夢中になっているお母さんたち。でも、メンバーのひとり、工藤悦子さんはひとり黙々とミサンガ製作に没頭しています。悦子さんはミサンガをつくることが楽しくて仕方がないそう。ご自宅に伺うと、たくさんの完成したミサンガを見せてくれました。
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失敗しながら自分のものにしていった

——わぁ、いっぱいありますね!これ、何本くらいあるんですか?
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悦子さん:さて、何本でしょう!

——400本くらい?

悦子さん:遥かに超えてますよ。600本!

——すごい!1本につき、どれ位時間がかかるんですか?

悦子さん:簡単なのだと40分くらい。難しいやつだと1時間半。でも1本1本つくるわけじゃないのよ、8本から10本くらい並べてまち針つけて、いっぺんに編んじゃうの。

——編み方は何種類あるんですか?

悦子さん:そうねえ、20種類くらいかしら。自分で開発したのが3つあるかな。
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——へえ、オリジナルのものもあるんですね!ミサンガは昔からつくっていたんですか?

悦子さん:いえいえ。「ミサンガ」って言葉も知らなかったくらいで。「ミサンゴ、ミサンゴ」ってずっと間違えてて、「またミサンゴって言ってる」ってみんなに笑われてたの(笑)

——じゃあ、千枝さんから教えてもらったんですね。最初から上手につくれましたか?

悦子さん:全っ然。たぶん一番最初にギブアップすると思われてたんじゃないかな。マスターするまでが大変でした。

——できるようになるまでにどの位時間がかかりましたか?

悦子さん:私ね、特別時間かかったの。見えると思ってたけど、こまくてよく見えなくてね。一回離れて戻って来ると、裏から編み始めちゃったりして。そうするとまたほどかなくちゃいけなくてね。

——大変ですね。

悦子さん:うん、でも難しいのが好きなのね。だからほどくのも気になんない。なんかね、真似が好きなのよ。千枝さんがつくるミサンガを真似して、失敗しながら自分のものにしていくの。千枝さんはじょーず。若いのに何でもつくっちゃう。
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——千枝さんが、「丁寧に教えたりしなかったけど、食いついてくる奴は食いついてきた」って話していたんですが、悦子さんのことですね(笑)

悦子さん:しつこいから、私(笑)わかるまで聞くからね。最初は意地だったの。「一番先にギブアップしたらちょっと考えもんだな」って。

——最初から「売れる」と確信していました?

悦子さん:全然。でも売れても売れなくても、自分の中での挑戦みたいなところがあるから。いまはトータルで2000本位つくったかな。ただねえ、もっとクレームつけてほしいの、長いとか短いとか。教えてくれないとわからないでしょ。

——ご自身で試行錯誤してらっしゃるんですね。

悦子さん:そうそう、金具をつけてみたり、本に載っている編み方をちょっと変えて新作をつくってみたり、ミサンガ以外のものも編んでみたり…。じゃないと飽きちゃうのね。でも、やっぱりシンプルなミサンガが一番売れるみたい。

悦子さんの旦那さん:これしか頭にないのよ。夜中の2時から電気ついてて、昼間は寝てるんだから(笑)

悦子さん:そうそう。お父さんが家を出るときと帰ってくるときだけ元気で、その間は寝てるの(笑)

——そんなにミサンガづくりに没頭されてるんですね。
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悦子さん:だって、今のうちしかできないから。漁がはじまると無縁です。と言っても私は海には出ないけどね、陸送とかしなくちゃいけないから。震災前は毎日手伝ってましたよ。朝2時に起きて、石巻に魚つけて登ってくの。お父さんはそのまま海に行ってね。だから陸船頭って呼ばれてたわ。

——じゃあ、漁がはじまる前につくっておかないとなんですね。ハワイでもよく売れているそうですし、来年のモンスターバッシュで売る分もつくらないとですもんね。

悦子さん:そうそう。買ってくれるって、すっばらしいことよねえ。これからもつくりつづけますよ!

2013.11.21