つくり手インタビュー
2013年9月、オクトパス君を生産している『YES工房』を訪れました。廃校をリノベーションした建物は木造で居心地の良い雰囲気。販売スペースにはオクトパス君グッズがずらりと並び、製作スペースではスタッフの皆さんが和気あいあいと作業をしています。プロジェクト開始後すぐに工房の一員になった山内幸枝さんに案内していただきました。
「オクトパス君のおかげで合格しました」と手紙が届く
——工房は2階建てなんですね。
山内さん:はい、入り口は販売スペース、奥が作業場と事務所です。2階は内職センターになっています。
——立派な設備ですね。何名位働かれているんですか?
山内さん:工房全体で23人です。オクトパス君だけでなく、まゆ細工も製作しています。
——山内さんはどういったきっかけでスタッフになったんですか?
山内さん:以前は仙台で働いてたんですが、震災があって、やっぱり家族のいる地元で暮らしたいと思うようになったんです。6月に戻ってきて、仕事を探している時に求人を見つけて、応募しました。
——最初はつくり手さんとして入ったんですよね。ものづくりの経験はあったんですか?
山内さん:いえ、全然。前職も接客業でした。だから最初は中々難しかったですね。先輩に聞きながら、何度も練習しました。インクが多すぎると涙みたいに垂れてきちゃうし、少ないとカサカサになっちゃうんです。ちょうど良いツヤを出すのが大変でした。当時は1日中、ひたすら塗って、乾かして、をしていましたね。
——プロジェクト全体はスムーズに進みましたか?
山内さん:出だしは大変でしたよ。応募して集まったのは、ものをつくったり売ったりする経験がなかった人たちだったので。価格の決め方、ラッピングをどこまでするか、パッケージのデザイン、全て手探りで進めていきました。いまはデザインができる人が工房に来てくれて工房内でデザインをしています。やりたいことがすぐにできるから、すごく強みになっていますね。
——新商品のアイディアはみんなで話し合うんですか?
山内さん:休憩中にスタッフ同士で「この商品をこうしたら〜」と話が弾むこともよくあります。良いアイディアが溜まってくるとミーティングを開くんですよ。「みんな集まれー!」って。
——今までやっていて、印象に残っていることはありますか?
山内さん:知り合いの方がイベントで販売してくれたんですが、「売れたとしても100個位かな」と見積もっていたら、1日目から「500超えました!」って言われて、大騒ぎになりました(笑)製作して、箱詰めして…とバタバタでしたね。
それと、GACKTさんとのコラボ商品をつくったんですよ。被災地支援として、いろんな地域でグッズをつくっているんですよね。その内のひとつにオクトパス君を選んでくれて、「ガクトパス君」ができました。
——おー!これはファンの方が喜びそうですね。
山内さん:受注生産だったのでもう在庫はないんですが、未だに「ほしい」と言われます。
——職場以外で、オクトパス君が話題になることもあります?
山内さん:ありますよー!「新聞載ってたね」「テレビ見たよ」って親戚や友達から電話がかかってきたり。こっちが知らなかったりして「えー!」なんて(笑)
——やっぱり受験シーズンは売れるんですか?
山内さん:そうですね。入試の一週間前に注文が入ってバタバタしたり。受験は一生を左右する大事なことだから、できる限り対応したいなと思います。
——あっちにオクトパス君の絵が飾られていますね。
山内さん:そうなんです。工房を見学に来た子どもたちが描いてくれて。手紙をいただくことも多いんですよ。お返事を書くと、文通みたいになったりします(笑)ここだと商品がお客様の手に渡るところを見ることができたり、反応が返ってきたりするのでモチベーションがあがりますね。「オクトパス君のおかげで合格したよ」とか、「友達に送ったら喜ばれたよ」なんて言われると、「あーやっていて良かった」と思います。
——全国の方へメッセージがあればお願いします。
山内さん:全国の皆さんには、長々と応援してもらってありがたく思っています。これからも色々な商品を生み出していくので、よろしくお願いします!
製作工程
オクトパス君の形は工場で作ってもらっています。鉄なのでずっしり!
水性ペンキで色を塗ります。
垂れたりダマになったりしないよう、絵の具を多くつけすぎないのがポイント。
そのまましばらく乾かします。
時間は季節によって違いますが、大体30分〜一時間ほど。
足が乾いたら、次は顔の部分。これでもう一度乾かし、二度塗りします。
黒目を入れます。ここが一番緊張するところ。
底に布を貼ります。この緑はワカメの緑。
キュートなオクトパス君のできあがりです。
2013.9.11