つくり手インタビュー

福島だけではなく、全国の女子が自分にできることで関わるブランドにしたい。そんな小笠原さんの想いを受け、東京で暮らしながらpeach heart brandオリジナルマスクの内職を行う高橋由里子さんにお話を伺いました。
¥IMG_4929

自分にできることで役立てるのが嬉しい

——小笠原さんとは、いつ出会ったんですか?

高橋さん:専門学校が一緒だったんです。ESMOD JAPONという学校で、一番仲のいい友人でした。しばらく会っていなかったのですが、久しぶりに再会して、いま取り組んでいることについて教えてもらって。「時間があったら手伝ってほしい」と言われたので、「やるよ!」と答えました。

——なぜ手伝おうと思ったんですか?

高橋さん:その時私は働いてなかったので、暇で(笑)それに、ずっと東北のことは気になっていたんです。震災時は働いていたから、ボランティアに行く時間もとれなかったし、向こうに行って自分に何ができるかピンとこなくて。でも、これならできる!と思いました。

——高橋さんのように、「何かしたいけど自分に何ができるかわからない」と思っている方は多いのではないかと思います。

高橋さん:はい、そう思います。私は体力もないので、瓦礫処理とか緊急支援は難しいだろうなって。だからいま、自分にできることで役立てるのが嬉しいんです。しかも、決して高くはないけど工賃もちゃんともらえるんですよ。東北の役に立てて、仕事にもなって、こんないいことないなって。

——最初からすぐにつくれたんですか?

高橋さん:そうですね、小笠原さんが説明書をつくってくれたので、それをもとに試作して、チェックしてもらいました。三枚の生地を合わせてつくるのでずれないようにするのは大変ですが、数をこなす内にだんだん慣れましたね。1日で多い時は20枚つくります。

——そんなにつくれるんですね。でも、ずっと同じ作業だと飽きてしまいそうです。

高橋さん:元々縫う作業が好きなので、楽しみながらつくっています。たまに気分が乗らないときもあるけど、そういうときはほかのことをします。つくり手の気持ちって製品に影響すると思いますし、せっかく可愛いものだから良い気分のときにつくりたい、と。

¥IMG_4919

——現在は働いていると伺いましたが、両立は大変ではないですか?

高橋さん:そうですね。平日はアパレル関係の仕事をしているので、peach heartのお手伝いは土日だけ。その分、友達や先輩に声をかけて、一緒につくってもらっています。製品が可愛くて魅力があるから、「これならやってみたい」と言ってもらえて。

——そうやって東京でもつくり手の輪が広まっていくのは嬉しいですね。

高橋さん:そうなんですよ。マスクをつけていたり、つくっている話をしたりすると、一緒に福島の話ができますよね。2年経って、震災のことが話題にのぼる機会も減ってきたと感じています。忘れずにいてもらうというのもやっぱり難しいですよね。マスクをきっかけに、福島で頑張っている子がいることを知ってもらえたらな、と思っています。

——今後の展望はありますか?

高橋さん:いまはイベント等で販売しているだけなんですが、置いてくれるお店を探したいですね。

——ご自身で営業されるんですか?

高橋さん:もちろん!想いを共有してくれるお店と出会えたらいいなと思っています。

製作工程

¥DSC00767

peach heart brand マスクは、表地、ガーゼ、不織布の3枚の布でできています。
順に重ねて、端を揃えて縫います。布が重なっている分、
ぴったり合わせるにはコツがいります。

¥DSC00771

ひっくり返してアイロン掛け。
布がヨレないようにするのが意外と難しく、初心者の方はつまづく作業なのだそう。

¥DSC00774

マスク上部の端から約5〜6mmのところを縫い、ノーズワイヤーを通します。

¥DSC00779

プリーツを折る部分に印づけ。ミリ単位でしっかりと幅が決まっています。
縦幅は大人用10cm、子ども用9cm。

¥DSC00792

印に沿って折り、パイピング部分の生地も一緒に、端から1cmのところを縫います。

¥DSC00795

パイピング部分の幅1cmのところをアイロンで折り目を付けます。

¥DSC00796

まつり縫いをします。ミシンではできない、細かな作業。

¥DSC00816

ゴムを通せば、peach heart brandオリジナルマスクのできあがり。
福島と、全国の女子のために。

2013.5.12