つくり手インタビュー

こうして好きな仕事に出会えるなんて、なかなかないよね

仙台駅から電車で30分、亘理駅から車で約5分。WATALISの事務所では、運営スタッフの方やつくり手の方がせっせと仕事をしていました。引地さんの同級生やつくり手の方のお子さんも出入りして、事務所の中は和気あいあいとした雰囲気に包まれています。

引地さん:真奈美さんは、facebookの仕事欄に“FUGURO職人”って書いているんですよ。

真奈美さん:そう、FUGUROを亘理の伝統工芸品にして、“FUGURO職人”という職業を地元のひとつの職業にするから。

つくり手の齋藤真奈美さんと小川百恵さんは熟練した腕前の持ち主で、WATALISのツートップと言われる存在です。目にも留まらぬ早さでFUGUROを仕上げながら、質問に答えてくれました。

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——昔からお裁縫やミシンは得意だったんですか?

真奈美さん:いえ、全然。学校も商業科だったし縫製とは全く関係なくて。でも、震災前は内職で有名ブランドのボタン付けの仕事をしていたんですよ。やっぱり好きなんでしょうね。だからもっとうまくなりたいっていう気持ちになるんじゃないかな。・・・ちょっとこの着物地、可愛いんじゃない?素晴らしいよ、この美しさ。

——この生地と色の組み合わせ、本当に可愛いですね。それにしても針さばきが鮮やかです。

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真奈美さん:針ずっと使っていると指紋なくなってくるの。手が固くなっちゃうのよね。大変なのよやっぱり。大変じゃない仕事はないですね。でも、好きだからやれる仕事じゃないですか、これって。こんな綺麗な生地に囲まれてさ。手触りも様々で。一点一点、世界にひとつしかないところが魅力だよね。しかも地元でできるっていうのは、すごくやりがいがあるよね。子どもが小さくても家でできる仕事だし、事務所にいても何かあったらすぐ迎えにいけるし。

——ひとつつくるのにどれくらいの時間がかかりますか?

真奈美さん:大体2時間くらいかな。最初はもっとかかったけど、少しずつ慣れていって、工夫して。まず、どうしたら綺麗にできるのかっていうのを一番に考えてるね。早さよりも、スピードよりも、仕上がりの綺麗さ重視。完成したあとで直すっていうのはさ、つくるよりエネルギーがいるじゃない?

——検品を厳しくしているということでしたが、たとえばどういうところにこだわっているんですか?

真奈美さん:角ですねー。飾りミシンがきっちり90度になっているか。丸くなっていないか。それに、両方の長さは合っているか。ぼんぼりは綺麗か。定例会で話し合って、いつも方法を模索してるんですよ。こないだはももちゃんが、糸を通す場所にアイロンをかけて印をつけたらどうかって提案してくれて。ももちゃんこれ、やりやすいよ。素晴らしい。目から鱗だった。

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百恵さん:ほんとう?よかった。

真奈美さん:単純なことなんだけど、気がつかなかったりするんだよね。家でやってるだけではわからないから、こうやって集まることが大事。

紐の先端につけるぼんぼりの部分もね、けっこう時間がかかるの。細くなってもだめだし、らっきょみたいな形になってもだめ。

——どんなことを考えながらつくっているんですか?

真奈美さん:やっぱりね、「うわー可愛いー」って思ってもらいたいなーと思いながらつくってますねー。

百恵さん:「今日はここまで」って思っていても、気分がのってくると次々つくっちゃうよね。時間がなくなると息子に「お風呂洗ってきて」って家事を手伝わせたりしちゃうのよねえ・・・。

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真奈美さん:お母さんがつくるところ見てるからね、子どももやるの。自分の手袋に穴が空いたとき、いきなり針と糸持ち出して縫い始めて。私がやってるの見てるからなのかなーって涙が出るよね。男の子なんだけどねー(笑)

百恵さん:まだ縫い目がガタガタしてるけどね。それも彼にとってはいい経験になるから。大人でも子どもでも、場数踏むっていうかさ、数縫うだけうまくなっていくね。えっちゃんはいちごストラップ専門なんだけど、もう一万個位つくってるよね?(笑)

真奈美さん:月いくつつくってるの?

悦子さん:250個くらいかな。毎日22時半になるとやめるの。

真奈美さん:聞いた?22時半までだって。これのビーズつけるの、大変なのよ。えっちゃんちで講習会しよっか。

百恵さん:そんな時間あったらFUGURO縫うわ。いちごはえっちゃんに任せて。

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——FUGUROはどれくらいのペースでつくってるんですか?

真奈美さん:人によってまちまち。マックスで月70個つくったことはあるけど。フルタイムでできないから、ムラがあるんだよね。でもこれからはもっとやるけどね。別の内職もやってるんだけど、そっち辞めてこれ一本にするから。

百恵さん:あ、もう辞めるって言ったの?

真奈美さん:そう、3月に辞めるって辞表出したから。WATALISにいのち捧げますよ。・・・っつうかね、WATALISのみんなが好きなの。助けたいし、自分のためでもあるし。一緒にやっていきたいっていう気持ちになってるね。結婚して子ども産んでから、こんな人たちと出会えるなんて、そうないよねー。

・ ・・はい、出来上がり!

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一同:わー!すごーい!可愛いーー!!(拍手)

真奈美さん:たまんないくらい可愛いっちゃ~~♡ねえ~こうして好きな仕事ができる人なんて、なかなかいないよね。仕事が大好きって言えるのが一番じゃない?ありがたいよ。出会えてよかった、WATALISに。

製作工程

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全国から届いたたくさんの着物。ほどき担当のつくり手が着物をほどいて洗い、
アイロンをかけます。スタッフがしみや汚れがないところを選び、裁断します。

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着物地に合う裏地を選び、紐とセットにして、つくり手さんにお渡しします。

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つくり手さんがそれぞれの自宅でミシンを使って縫製します。
縫い目が直線になるように、角がしっかり直角になるように。

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紐を通して、先端をしっかりと結びます。一番使うところなので、
取れることがないよう、力を入れて。見えないけれど大事な部分です。

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紐の先端には表地と布地をつけ、中に綿を入れてきゅっと縫い合わせ、
可愛らしいチューリップの形のぼんぼりにします。

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内側にタグをつけます。このまま使っても良し、取りのぞいても良し。

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「可愛い、可愛い」とつくり手の愛おしいまなざしを
一身に浴びながらつくられたFUGURO。大事に使ってくださいね。

2013.1.23