「マニュファクチュール」は一般に時計業界で使われる言葉で、企画・構想の段階から、部品の制作・組み立て・研磨・仕上げといった製造工程のすべてを一貫して自社で行うことを意味します。「マニュファクチュール」を標榜できる時計メーカーは世界でもごくわずかです。
私たちは被災した東北の各地で行われているものづくりの現場を訪ねるたびに、復興を目指してものづくりに取り組む人々の姿に心を打たれてきました。その姿は微細な部品を何か月もかけて組み上げるスイスの熟練の時計職人たちを彷彿とさせます。被災地の制作現場から生まれるもののクオリティとスイスのマニュファクチュール・メーカーが作る時計のそれとは比べるべくもありませんが、どちらの現場もものづくりに対する姿勢においては相通じるものを感じずにはいられません。
そんな東北のものづくりのありかたを、私たちは深い敬意をこめて「東北マニュファクチュール」と称し、それぞれのものづくりの物語を国内はもとより世界に発信していきたいと考えています。
以上の考えから「東北マニュファクチュール・ストーリー実行委員会」では、「マニュファクチュール」を次のように定義します。
──自らの技術の限りを尽くして、心をこめて真剣にものづくりに取り組むこと。