会津木綿は、会津地方に400年前から伝わる伝統工芸品です。 生地は丈夫で保温性・保湿性・放熱性にすぐれ、畑仕事に着る野良着や布団、布小物など、生活に欠かすことのできない素材として重宝されてきました。
その会津木綿を使ってものづくりに励むのは、福島第一原発の事故の影響によって大熊町から会津若松市に避難している女性たち。仮設住宅での手仕事づくりを行っていた任意団体IIEの活動に参加して会津木綿に出会い、自分たちでもオリジナルの商品をつくっていこうと「會空(あいくう)」を立ち上げました。
得意の縫製技術を活かしてつくった「あいくー」は、大熊町のマスコットの熊をモデルとした可愛らしいキャラクター。彼女たちはあいくーを作っては「この子、可愛くできたねぇ」「この子は少しいたずら好きな顔をしているね」と会話に花を咲かせます。あいくーは、いまだ閉ざされた故郷への想いが詰まった大切な存在なのです。
会津の「會」と「空」。現在彼女たちが暮らす会津と、故郷の大熊町は同じ「空」で繋がっているというメッセージを、会津木綿の小物に託し、今日も會空の事務所にミシンのカタカタという音が響きます。
私たちは、故郷を離れ、会津若松市に避難して生活しています。そして会津木綿に魅せられ、小物作りを始めました。いつの日か、故郷に帰ることを願いつつ、その想いを一針一針に込めました。会津への恩返しと、明日を夢みる一歩のために。
───── 庄子ヤウ子(代表)